13冊目。2011年6月刊行。通し番号は190。
どういう風の吹き回しなのか、当時なにか神楽陽子のキャンペーンでもあったのか、前作「スクみこっ」からの2ヶ月連続刊行であり、通し番号も連なっている。編集者ブログも閉鎖されてしまった今、どうして急にこんなことになったのか、探りようもない。もっともそれぞれの内容に関連性はまったくなく、そう考えると特に趣向があったというわけでもなく、巡り合せでたまたまそうなっただけなのかもしれない。
あらすじはこちら。
学園内を賑わせる謎の怪盗・えっくすキュートの正体は生徒会長でもある妹・美宇!? 普段のクールな様子とは違うデレデレぶりに戸惑うが、所構わずエッチに迫る彼女の誘いは断れない。正体を暴いてしまうとこの関係は終わってしまいそうで……!?
いつにも増してよく分からないあらすじなのだが、とにかく確かなのは、女の子はひとりだということだ。ひとりかよー、とまず思う。そして読みはじめる。すると、その情報でハードルが下がっているためか、おや? となる瞬間がある。女の子はひとりのはずなのに、意外といけるぞ? と。
美宇は主人公とは長く離れて暮らしていた実の妹であり、同じ学園に通うようになった今も兄に対して心を開いていない。でもそれは(とても意表を突く設定だが)、兄への激しすぎる好意の裏返しであり、わざと冷たく接しているだけなのである。そんな美宇だが、学園に突然現れては、教師に没収された生徒の私物を取り返す義賊、えっくすキュートに変身しているときだけは、兄に対して素直に甘えることができる。えっくすキュートの変装は、スクール水着の上に改造セーラー服を羽織り、小さいシルクハットを頭に乗せ、仮面とも言えない目元だけを蔽うゴーグル程度のものを付けただけのもので、主人公はもちろんすぐに妹だと気づくので本人に向かって言及するのだが、もちろんえっくすキュートこと美宇は否定する。そして否定して、美宇ではないから、思う存分にデレることができる。これはそういう画期的なシステムのお話である。エロ小説に出てくるツンデレの少女は、最初の7ページくらいしかツンツンせず、ほとんどデッレデレのグッショグショじゃねえか、という問題を、神楽陽子はこの設定によって見事にクリアしてみせた。
これにより、単独ヒロインなのに、なんとなくそうではないような感触が発生し、リーダビリティが画期的に上昇している。えっくすキュートに対してシャワー室で挿入しながら放尿させるようなハードなプレイをしたのち、校内でばったり会った美宇に冷たくあしらわれると、そこには独特の背徳感が生まれる。これは新鮮な発見であった。
もちろん最終的には、えっくすキュートの正体が実は美宇であるということはバレる。保健室のベッドで行為に及ぼうとしている際、人の気配に慌てて布団の中に隠れたときに、えっくすキュートの仮面は外れてしまう。しかし本人はそのことに気付かず、美宇の素顔を晒したまま、えっくすキュートとして行為を続行してしまう。途中で仮面が外れていることに気付いた美宇は恥ずかしさに打ちのめされる。
「教えてほしいな。美宇はどうして、変装して僕に近づいてきたの?」
けれども素直になれない妹は、そう簡単に真意を教えてはくれない。だったら、落ちているアイマスクをかぶせてやればいい。
「だ、だって……兄妹だと結ばれないし、んくふ、美宇ちゃんね、お兄ちゃんに嫌われてるんだと、お、思ってたから……」
「……じゃあ、美宇は僕のこと好きなの?」
最後の問いかけには、恥ずかしそうな、照れるような間があった。
「兄妹なのに、好き……だなんて、言っても、受け入れてもらえるわけないもん。だからきゅーと、こおやって変身すれば、お兄ちゃん、付き合ってくれるかなって」
この妹はお兄ちゃんに恋をしてしまったらしい。けれども、それは実の兄妹では許されないこと。そこで「えっくすキュート」の姿を借りて、兄と恋愛関係を築こうとした。
表向きは距離を置いていたのも、悠を意識してのことだったのかもしれない。
「言ってくれればよかったのに。僕が美宇のこと、拒むとでも思った?」
アイマスクを外しても、実の妹はもう抵抗しない。
「ですから、私たち……あん、兄妹で、こういうことは」
よかったよかった。美宇ちゃん、よかったね。このあと主人公と美宇は怒濤のアナルセックスへと突入し、背面駅弁の状態でスタンドミラーの前まで運ばれ、そこで放尿までさせられる。ふたりの輝かしい未来を象徴する、感動のシーンである。
この中にこんな一節がある。
可愛い妹をふたりも手に入れた気分だった。怪盗えっくすキュートも、実妹の美宇も、お兄ちゃんの欲張りで節操なしのオチンチンに恋をしてしまっている。
そうなのだ。単独ヒロインのはずなのに、普通の単独ヒロインの物足りなさをあまり感じないのは、キュートと美宇、まるでふたりの女の子を同時に攻略しているような気になるからだ。実際はひとりなので、もちろんダブルフェラなど3Pとしてのプレイは不可能だが、それを感じさせない読み応えがあった。ものすごい離れ業だと思った。この手法、著者本人としても手応えがあったのか、同じような趣向の作品がこのあとも登場する。神楽陽子はいつまでも引退しなければよかったのになあ、そうすればエロ小説業界はまだまだ活況だったのかもしれないのになあ、としみじみと思う。



















