2026年4月25日土曜日

パピロウの娘のスラックス


 子どもたちのそれぞれの新しい学校生活が開始したのだが、実はうちの子たちはふたりともが、制服でスラックスを選択したのだった。
 3年前のポルガの中学入学時は、まだ男子は学ラン、女子はセーラー服だったのだけど、ポルガの代(かあるいはその1個下)が、その伝統の記念すべき最後の世代となり、既にポルガが3年生のときの1年生なんかは男女ともにブレザーに切り替わっていたそうで、まあもとよりポルガの着倒したセーラー服はお下がりで使えるはずもなかったのだが、ピイガの制服は新しい、男女共通のブレザーに、ボトムスはスカートとスラックスが選択可能というスタイルになった。令和である。ポルガの中学入学時も元号は令和だったが、島根の片田舎にもいよいよきちんと令和の波が来たのである。そして選択肢を与えられたピイガは、迷う素振りも一切なく、「じゃあスラックス」という選択をした。制服の採寸には僕が付いていったので、そのときの感じは実際に目にしたのだが、公民館的な施設で催された採寸および注文会では、業者が何人もの子どもを捌くために、まあまあオートメーションに、女の子にはとりあえずスカートをあてがおうとするのである。やはりそっちのほうが圧倒的多数なのだ。それをピイガは制し、「スラックスがいい」と主張したのである。本人の中で、それほど絶対的にスラックスなのか、と少し驚いた。
 ポルガの通う高校は、ファルマンの時代からブレザーはブレザーだったのだが、こちらも最近になって女子もスラックスを選べるようになったらしい。ピイガの中学からのスラックスを恨めしそうにズルいと言うポルガもまた、当然のごとくスラックスを選んだ。
 なんでだ、と思う。
 いや、本人たちの親なので、娘たちの性分からすれば「そうだろうなあ」という納得はもちろんあるのだけど、客観的に考えると、プロペ★パピロウの娘であるJCとJKがふたりともスラックスって、それってなんかおかしくないか、という気持ちがある。どういう客観的な気持ちなのか、あまり自分でもよく解らず言っている。でもなんか、たしかにある。あんなにJCとかJKとかずっと言ってて、挙句の果てには宇佐木学園というオリジナルの全寮制中高一貫女子校まで生み出したパピロウの娘がふたりともスラックス。紺屋の白袴的な、医者の不養生的な、なんかそういうままならなさがあるのかもしれない。
 女の多い家庭でずっと生きてきたのに、いつまでも女に対する幻想が打ち砕かれないのは、家族と女というものを完全に別物だと捉えてきたからで、しかしさすがに娘たちがJCとJKになったらば、そのときは僕の積年のJCとJKに対する夢や希望が、とうとう瓦解するのではないか、みたいな、恐怖半分期待半分の心構えをしていた部分があったのだが、どうやらそれは免れ、僕のJCとJKに対するカルマは、今後もつつがなく醸成され続けるようだ。よかったと安心する部分もあるし、少し残念な思いもある。父親の心ばかりが、箱ひだプリーツのようにかわいらしく揺れ続けている。