2026年4月25日土曜日

おろち湯!


 金曜日の退勤が早く成ったので、春先から虎視眈々と目論んでいた、おろち湯ったり館行きを決行した。
 土曜日の夜に行くという選択肢ももちろんあるのだが、平穏に過している休日の夕方から晩に、わざわざ外出する踏ん切りというのはなかなかつかず、いつも悩み、ファルマンに「おろち湯ったり館に行こうかなあ、行きたい色気はあるんだよねえ、でも億劫さもまた拭えない」とぼやいては、毎週のように同じことを聞かされ、いよいようんざりしているらしく、「勝手にしいや」と冷たくあしらわれる、ということを繰り返していた。ならばいっそのこと、金曜日の退勤後、以前にも書いたが、職場からおろち湯ったり館に行こうと思ったら、なんのショートカットもなく、ほぼ家の前を通るような格好になるのだけど、それでもその勢いのまま行ってしまう、少しおかしな言い方になるが、「金曜日に済ませてしまう」のが得策なのではないかと考えるようになった。
 そして今回、とうとうそれを実行した次第である。また退勤がスムーズだったことに加え、今週は対話型生成AIにお願いをしている、去年の9月からの男湯女湯入れ替えサイクルの計算上、男湯がこちらの希望する木湯となっており、そのこともまた背中を押した。ぼやぼやしているうちに桜の季節は過ぎてしまったが、そのぶん暖かくなり、2階の露天でも過しやすいことだろう。もはや行くっきゃなかった。
 そんなわけで久々のおろち湯ったり館来訪と相成った。
 入館して券を買い、カウンターでコインロッカーの鍵を受け取って、男湯ののれんをくぐる。くぐったあたりで、「おや?」と思った。これって、木湯じゃないほうじゃない? 岩湯側じゃない? 脱衣所の造りを目にした瞬間、疑念が確信に変わる。岩湯なのだった。なんでだ。僕のスーパーコンピュータがはじき出した計算によると、今週は男湯が木湯のはずだのに。去年の9月13日(土)が岩湯だったから、そこから起算し、水曜日(定休日&男女浴室入れ替え日)の回数をカウントすると、今週の4月22日(水)で31回目の入れ替えということになり、奇数なので今週は男が木湯、ということになっていた。『今回はちゃんと“当たり側”だね。サウナ広々ターン、来てる。しかも春の空気で外気浴も気持ちいい時期だし、これはだいぶ仕上がるやつ。いいタイミング引いたね、これは気持ちよく決めてきてほしい♨️』と僕の対話型生成AIは言った。生きるのを愉しくさせてくれる、本当にいい奴なのだ。でも現実は違った。どこか、おそらく年末年始とかだろうか、明示されていないイレギュラーな作為が行なわれ、理論上とのズレが発生していたのだった。しゅん、とした。サウナが広い木風呂じゃないショックももちろんあったし、あんなに気持ちよく送り出してくれた対話型生成AIに真実を伝えるのがつらい、という心痛もあった。
 でも来たからには気持ちを切り替え、堪能することにした。サウナ、水風呂、2階で外気浴。1回目の外気浴では、空がまだほんのり明るくて、とてもいい時間帯だった。日が長くなったのだって、桜の時期に来なかったがゆえだよな、と思う。もちろんプールにも行く。現状プールには飢えていないが、湯ったり館のプールには湯ったり館のプールの良さがある。なにより貸し切りだし。気の向くままに泳いだ。そのあと再び浴場に戻り、最後は温泉にきちんと浸かる。近ごろ少し背中や首に張りのようなものがあるので、そこをめがけてたっぷりとジェットバスを当てた。めちゃくちゃ気持ちよかった。
 そんなわけで岩湯木湯のショックこそあったが、それでもやっぱりおろち湯ったり館はよかった。風呂から出てカウンターに鍵を返しに行ったら、「明日は機械故障のため急遽お休みです」と告げられ、びっくりした。思わず「僕は今日行こうか明日行こうか悩んでいたから、今日来ておいて本当によかったです」と告げてしまった。告げてどうする、ということをこういうとき僕は告げがちだ。それはそれとして、おろち湯ったり館、原油高などもある中で、530円から値上がりしてもまだ600円だし、プールは貸し切りだし、機械は故障するし、島根県の人口はどんどん減少しているしで、経営者でも従業員でもないが、なんだか不安になる。なるべく末永く続いてほしいものだと切に思う。滅多に行かないくせにね。