2026年3月22日日曜日

春とスケート


 春分の日の3連休なのだった。今年は子どもたちの春休みが長く、わりと持て余し気味のようなので、ここらでひとつ大型レジャーでも、とも思ったのだが、そう思い立ったのが2日前くらいのことだったので、ぜんぜん態勢が整わず、結果的にどうなったかと言えば、アイススケートということになった。場所はもちろん湖遊館である。なにしろ山陰でスケートリンクはここしかない(ちなみに余談だが、あと1週間ほどで松屋が出雲に山陰初出店するので、非常に愉しみにしている)。スケートは冬のはじめ頃からピイガに「行きたい」とせがまれていたが、いちおう受験生がいたので行くわけにもいかなかった。そのため、このたびようやく思う存分に滑りに来ることができた、というわけなのだった。過去の日記を確認したところ、前に来たのは2022年の年の瀬だった。なので3年3ヶ月ぶりくらい。それがスケートというレジャーに一家で繰り出す頻度として、順当なのかどうなのかはよく分からない。その際にはこのような記述をしている。

 靴を履いて誰よりも先にリンクに足を踏み入れたのはピイガで、その場で見事に転倒した。世の中、テレビで観るアイススケートは、フィギュアにせよスピード競技にせよ、とてもうまく滑れる人ばかりが映し出されるので、滑るのが難しいというイメージがピイガの中にまるでなかったらしかった。そして最初の派手な転倒によって自らの誤解を悟る、ということもなく、ピイガはいつまでも自信満々に進み続け、そして転び続けた。自信がすごすぎて、現実でぜんぜんうまく滑れていないことなど、ピイガの中では些末事のようだった。すごい現象だな。一方でポルガは慎重派で、壁の手すりに掴まりながら、そろりそろりと足を進めていた。やがてだんだんとコツが分かってきたのか、壁から手を離す場面も増えたのだが、しかしそのコツというのはあくまでポルガの中のコツであって、その滑り方は、右足は固定したまま左足だけを動かすという異様なもので、前傾することなくすらりと伸ばされた上半身は終始不動で、トレーニング器具のスカイウォークのようだった。自分以外の人間のやっている様を完全に見ずに、独力で独自の方法を編み出し飄飄としている感じが、実にポルガらしいと思った。斯様にタイプは違うが、しかしふたりに共通しているのは、絶対に自分が正しいと確信していることだ。こいつらの自己肯定感の鋼っぷりは、一体どうしたことなのかと、今日のアイススケートに取り組むさまを見て、改めて不思議に思った。
(「おこめとおふろ」2022年12月30日)

 三つ子の魂のやつで、今回のアプローチも、両者ほぼこのときと同様だった。ピイガは来る前から、「ピイガは絶対にスイスイ滑れる。オリンピック観たから。だから絶対に滑れる」と言い張っていたが、リンクに立った途端、転倒こそしなかったにせよ、思い描いていたスムーズな滑走というわけにはいかない現実に、「あぁ?」と憤っていた。氷にすごんでどうなるというのか。ピイガは基本的にムーブがチンピラっぽい。そしてポルガはやはり手すりにすがりながら、黙々と足を動かしていた。この歳になってくると、家族とのレジャーなんか愉しんでくれているんだろうか、嫌々付き合っているんじゃないかという不安がこちらにはあって、まるではしゃぐ感じのないそのさまに、思わず「大丈夫? 愉しんでる?」と問いかけたところ、やはり難しい顔で、へっぴり腰になりながら、「めっちゃ愉しい」という答えが返ってきたので、ああこの子はこういう子だったな、と再認識した。
 休憩を挟みつつ、2時間弱ほど場内にいただろうか。だいぶ滑った。子どもたちも、滑りはじめよりはそれなりに上達したが、4人の中で誰がいちばんうまく滑れるかと言えば、それはどうしたって僕なのだった。前回も思ったが、僕はわりと上手に滑る。スケートは、ただスイスイ滑る分には、そこまで筋力を使わないものだ。じゃあ大事なのはなにかと言えば、それはやっぱり運動神経、すなわちセンスということになるのだと思うが、そういう点で僕という人間はやっぱりだいぶ秀でているんだろうな、と思った。
 3連休のトピックスと言えばだいたいそんなもので、買い物だったりプールだったりでちょこちょこ出た以外は、ずっと部屋にいて、水着を作ったり、本を読んだり、筋トレをしたりしていた。ちなみに、3連休ということになると絶対にキーワードとして出さなければならないという縛りでもあるかのようなおろち湯ったり館は、今春も20日から2階の露天が開放されたということで、いつもよりだいぶ行く機運が高まったが、ChatGPTに例の岩と木について訊ねたところ、男湯は木風呂(だろうと思われる)とのことだったので、うーん、と思案した末にやめた。春のどこかのタイミングで行けたらいいなあとは考えている。しかしそれはそれとして、総評として決して悪くない3連休だった。そして明日からは平日かー、と思っているのは、しかしわが家で僕だけだという事実。子どもたちふたりとも、長めの春休みという事実。じゃあ3連休におけるレジャーに対する気概とかも、ぜんぜん違ってくるんじゃん、とだいぶ終盤で気付いた。ずっちーな。