晩ごはんに八宝菜を起案する。これまでわが家の献立には登場してこなかったメニューだが、あんかけの素を店で見かけ、なんとなく気が向いたので買ってみたのである。というわけで材料を揃え、ファルマンにリクエストした。
しかしその日は早く退社できたので、材料を炒め始める前、下ごしらえが済んだ段階で帰宅することができた。白菜、豚肉、にんじん、海老、たけのこと、いろいろな食材がキッチンに並ぶ中、中くらいのボウルにこんもりと盛られた黒い物体があった。よく見れば、それはきくらげであった。きくらげもまた、これまで八宝菜を作ってこなかったわが家には馴染みのないものであったが、せっかくだからということで乾燥のものを買ったのである(そのわりにうずらの玉子を思いきり忘れた)。乾燥した状態のきくらげは、それはもう頼りにならない感じの、ちりちりの黒い紐のようなもので、それをファルマンは、一袋丸ごと水で戻したのである。その結果、乾燥きくらげはぐんぐん水を吸い、中くらいのボウル一杯まで膨れ上がったという次第であった。黒いぶよぶよのきくらげが積み重なる姿は、なかなかグロテスクで、思わず爆笑した。
ファルマンは少し恥ずかしそうに、
「だ、だってこんなにおっきくなるなんて分からなかったんだもん」
と言った。
妻の、想像よりも大きく膨らんだことに戸惑う姿を見たのはこれが2度目だな、と思った。
そんなオチの話。