2026年2月15日日曜日

令和バレンタイン


 昨日は少しバタバタしていたので、今日がわが家のバレンタインデーだった。どういう意味でバレンタインデーかと言えば、ピイガがドーナツを作ったからだ。ホットケーキミックスを使ったドーナツに、湯せんで融かしたチョコレートを塗り、カラフルなスプレーを散らしたもの。そのできあがったものがパットに並べられ、冷蔵庫に入っていたので、「これもう食べていいの?」というお伺いを立て、許可が下りたので、おやつにひとつ食べた。それがわが家のバレンタインデー。
 そういうものか。娘と父という間柄におけるバレンタインデーとは、そういうものだったろうか。そういうものだったのである。どうした、なにか幻想でも抱いていたのか。箱とか袋とかに入れられ、さらにはメッセージカードなんかも付されているとでも思ったか。甘い。ホットケーキミックスを使ったドーナツよりも甘い。
 そもそも相手は令和人である。メスからオスへチョコレートをプレゼントするという、そもそもその観念が通用するはずないのである。ピイガはただ、バレンタインという日にかこつけて、休日の過し方としてお菓子作りを、あくまでしたかったからやったまでであり、そこにイベント的な気負いは一切ない。
 それなのにこちらは、冷蔵庫に入っていたドーナツをひとつ、掠め取るようにいただいただけだが、それでも来月の14日はお返しをしなければならないなあ、などと思ったりする。その思いが古い。それはサザエさんの時代の発想。向こうは、作って贈ったという気がないので、もちろんお返しをもらおうという気もない。とにかくバレンタインデーに対する身構えというものが、このひと世代、四半世紀くらいの隔たりで、異様なまでに変化している。多様性を認め合おうという教育は、とてもきちんと次世代に浸透している。
 などと言いつつ、なにか表面的な部分で巧妙に取り繕われているだけで、肝心なところではむしろ昔以上に残酷だということも知っている。令和ってそう。俺は知っている。令和ってそういうもんだと、いろいろ勝手に決めつけて、これからの後半生を生きていこうと思う。