2026年3月10日火曜日

42歳男子


 実家から現在まで、女とばかり、もとい女としか暮していないのに、なぜか異様なほど女に幻想を抱き続けているし、女性性への理解度が低い。われながらこれはすごいと思う。とにかく家族と女性というものを、完全に別物として捉えているのだろう。それは自然なことだとも思うし、そこまで完全に分離して初心なままでいられるものなのか、とも思う。
 月経というものがあるじゃないか。実家にいるとき、その気配を感じたことは一切なかった。まだオープンな性教育という時代でもなかったので、完全に世界の埒外であった。ファルマンと暮しはじめてからはそういうわけにもいかなくなり、女には毎月、つらい数日間があるのだということをぼんやりと理解するようになった。そして女が月経の期間であるということを知った場合、必ず「女子って大変なのな」と口にするようになった。どうやら女子の生態に理解のある、思いやりのあるイケてる男子は、そのときそういうことを言うらしい、ということをどこかで見知り、本当は理解していないくせに、言葉だけ真似するようになったのである。でもしばらくすると面倒になって、「じょしたいなのな」と略すようになって、ファルマンにムッとされるようになった。配慮の呼びかけを面倒臭がって略したらダメなのだ。
 そんなわけで、ぜんぜん本質的には月経のことを理解していなかった僕なのだが、先日ファルマンから、「想像してごらんなさい。月に一回、性器から血が出るんだよ」と改めて伝えられ、それを自分のぱぱぼとるに置き換えて想像したら、すさまじい絶望の淵に立たされ、「……今生が終わった」という気持ちになったので、そこでようやく僕は女性の大変さが真に理解できたように思う。女子って毎月そんなことをしていたのか。めっちゃつらいじゃん。女子って大変なのな。